アスペルガーの父とカサンドラ症候群の母を持つ子ども
特に人よりも敏感な心を持つ長男は、なんだかヘンテコなアスペルガーの父と、それに疲れているカサンドラ症候群な母との生活で、いったいどんなことを感じていたんだろう。
最近、子どもたちの気持ちを改めてしっかり受け止めてみよう、考えてみようと思うようになりました。
アスペルガーの父って何か変!?
アスペルガーやカサンドラ症候群な親を持つ子どもの気持ちを知りたい、と思っていろいろ調べていたら、こんな記事を見つけました。
この方はお母さんがおそらくアスペルガー(未診断)、母親のやることなすことヘンテコさを理解できず、長い間悩んできたそうです。
「自分が変わることでしか状況を変えられない」これは、きれい事ではなく近道だとおっしゃています。
そして、ご自身の子どもさんも発達障害。
「発達障害の子どもを育てるより、発達障害の親と過ごすほうがずっと大変」だと。
自分のお母さんが「もしかして発達障害」と気づいたのは大人になってから。
それまで長い間、物心ついたときから感じていた違和感、みんなのお母さんと自分のお母さんはなんだか違う、という思い。
そんなお母さんには素直に甘えられない、子どもらしい子どもではいられなかったんですね。
お母さんと一緒にいることが疲れる、苦痛、安らげない。
いちばん甘えたい存在のお母さんと過ごすことで、カサンドラ症候群になっていったようです。
「お母さんが発達障害かもしれない」と気づいたときに、すーっとする思いがあったようですが、これまで苦しんできた事ってそう簡単に消えるわけではありませんよね。
両親の離婚や、ご自身の結婚で、お母さんとの距離が広がるにつれて「ホッとした」気持ちがあったとのこと。
我が家の子どもたちも、上2人は小学生なので父親のヘンテコさには少しずつ気づき始めていました。
- スマホばっかり!
- 何言ってるかわからない!
- 話を聞いてくれない!
- 一緒に遊びたくない!
- お母さんのこと手伝わない!
こんな父親と一つ屋根の下に暮らしていても、全く楽しくなかったでしょう。
私は「夫は発達障害かもしれない」と気づいて、理由がわかった時点で納得がいく部分は大きかったのですが、子どもたちにとってそれは難しいこと。
ただの変なお父さん、嫌なお父さんでしかなくなっていったんです。
私は長男が父親との関係で悩んでいる、となんとなくわかり始めたとき、学校の先生に相談しました。
そのとき、私も夫とアスペルガーの関係についてはまだ何も気づいていなかったときです。
学校の先生は定期的に長男と話す機会を作ってくれました。
普通の考えでは
- お父さんは家族のために仕事を頑張っている
- お父さんは尊敬されるべき
- お父さんも慣れない環境で大変なんだ
となりますよね。
そのことを、先生から長男へ優しく話してくれたことがあったんです。
そのときの様子を先生からうかがったんですが
「お父さんの話になると、長男君は表情がこわばって、何も言わなくなったんです。その他の興味があることについては、楽しそうに話してくれたんですけどね・・・」
長男も賢いので「いわゆる普通の考え」というのはわかっているはず。
「でもうちのお父さんは何だか違うんだ!」
っていうのが誰にもわかってもらえずに苦しんでいたんです。
そして、その当時は私もまったく同じでした。
「夫だって慣れない環境で頑張っているのは確か、それを子どもたちに認めさせて、尊敬される父親と思われるように、私が子どもたちに説いていかなきゃいけないのかな。そのためにはどうしたらいいのかな。でも夫には何を話しても聞いてくれないし、わかってくれないし・・・」
そんな気持ちで長い間葛藤していました。
大人の私でさえうまく表現できない気持ちを、小学校3年生の息子がうまく言えるわけがなかったんです。
幸い、学校の先生が発達障害について詳しい方で、相談を進めているうちに
「ひょっとしてお父さんも発達障害だということは考えられませんか?」
という話に!
その一言で、それまでの意味不明な違和感について説明がついた気がしました。
カサンドラ症候群の母っていつも疲れてる!
子どもたちから見たカサンドラ症候群の母ってどんな感じだったんでしょう。
- お母さんはいつも疲れてる
- お母さんはいつも忙しい
- お母さんはなかなか一緒に遊べない
私はできるだけ子どもたちの前では笑顔を絶やさないように、って心がけてはいました。
でも神様なないので、ずっとは無理です。
夫のヘンテコな行動や言動に毎日イライラしてたし、それについて小言を言いたくなることもしばしば。
「もう、お父さんこれ覚えてよ!」
「お父さん手伝ってよ!」
ときつく言ってしまうこともありました。
そんなときに長男が
「そうだって!」
「お父さんちゃんとしてよ!」
と言うようになりました。
これには夫も不愉快です。
「お前が俺に不満を持つから、子どもたちにも影響してるんだ!」
ってなるんですよね。
でも、子どもたちから見ても夫の方がヘンテコなことは確か。
子どもたちなりに、お母さんを手伝おうという気持ちも見えていましたが、それ以上に「お父さんにもっと頑張ってもらいたい」という気持ちが強かったようです。
お父さんのせいでイライラしているお母さん。
言い争いは極力避けていましたが、別居直前にはもう無理・・・でした。
そんな両親と一緒に過ごす毎日、苦しかっただろうな、嫌だったろうな、って思います。
将来子どもたちがアスペルガーやカサンドラ症候群について知るとき
大人の発達障害やカサンドラ症候群という言葉がよく聞かれるようになったのは、ここ最近のことですよね。
子どもたちが大きくなる頃にはもっと研究も進んで、もっと認知もされていることだと思います。
そして、いつか子どもたちが
「お父さんはアスペルガーなんじゃないか?」
「お母さんはカサンドラ症候群だったんじゃないか?」
って気づく時がくるでしょう。
そのとき、子どもたちは何を考えるんだろう。
長男はおそらく、自分の発達障害の特性とも向き合っていかなければならない。
まだ小さな二男もおそらく・・・
今のところ定型発達の娘は、兄弟との関わり方で悩むこともたくさん出てくるだろうし。
そのとき、私は母親としてどうしたらいいんだろう、ってふと考えるときがあります。
さいごに
将来どうなっていくかはわかりませんが、我が家は「アスペルガーの夫・父親と離れる」ことを選びました。
そう決めたからには、この決断について後悔したくありません。
子どもたちがそれぞれの個性や特性を生かして、少しでも楽しく過ごしていけるように。
まずは私が笑顔でいること。
私自身が自分の人生を楽しむこと。
それが大事なんじゃないかなと思っています。
まだまだ先は長いですからね。